2018年8月20日に星野源の新曲「アイデア」が世界同時リリースされました。ミュージックビデオ(MV・PV)には様々なシーンがありますが、どのように解釈すればよいのでしょうか?また、「白い動く壁」はどのような意味があるのかご紹介していきます。
■目次
ミュージックビデオ(MV)のアイデアと工夫
星野源の「アイデア」のMVは、3000平米を超す広い空間に作られた大型セットでノーカット撮影されています!
さまざまな位置に固定されたカメラアングルから月々とシーンが移り変わっていきますが、設置したカメラは70台以上もあるようです。
また、「MPCプレイヤーのSTUTS」の登場やダンスの振り付けを「三浦大知」「Singo Okamoto」が手がけていることが、話題となっています。
星野源が「アイデア」に込めた思い
星野源さんは今回の「アイデア」の作品について、次のようにコメントしています。
星野源コメント
星野源としてやってきたこと、もっと言えばSAKEROCKの時からやってきたこと。そして『YELLOW DANCER』以降、作ってきたイエローミュージックというもの。すべてを含み、すべてを越え、すべてを壊し、未来に進むパワーを持つ楽曲、そんなものを作りたいと思いました。
星野源さんは元々ブラックミュージックに影響を受けていますが、他の音楽をマネたJ-POPではなく、「日本人としてのフィルターを通した自分たちらしい音楽」を「イエローミュージック」と称して作っています。
J-POPに限らず、日本人は海外から輸入したものをよりよく「改善」し、新たな価値を生み出すことが得意な人種であります。
(例えば、世界的な自動車メーカーとなったTOYOTAやHONDAもそのような日本人の特技を生かして成長発展してきた企業ですね。)
ところが、星野源さんは音楽では、もはや同じフィールドで競い合っていく時代ではないと感じているようです。
星野源コメント
ブラックミュージックを突き詰めていくだけではそれが自分たちの音楽にはならないという葛藤がずっとあって。もう血の段階で絶対に敵わないし、うまく真似できることが賞賛される時代はもう終わったと思う。
そんななかで自分たちの音楽とは何かと考えたときに、いろんな国の音楽を吸収しつつも真似をするのではなく自分たちのフィルターをしっかり通した音楽、イエローミュージックというものを考えた。
今回は「星野源」としてではなく、「Gen Hoshino」の名前で「世界同時リリース」したことや、出演者のクレジット(名前)も全て英語表記になっていることから、「これがイエローミュージックだ」というメッセージを日本の枠(わく)を超えて発信したものと考えられます。
そういった意味では、元々の交友関係は知られているものの、世界的にも知名度のある「三浦大知」さんや「STUTS」さん、「Singo Okamoto」さんとの共演も世界を意識したことから出てきたものと思います。
新曲「アイデア」は、これまでの星野源さんの集大成であり、「イエローミュージック」を世界に投げかけるものとわかりましたね。
星野源「アイデア」MV前半の「切り替わる背景」は?
「アイデア」は、星野さんのマリンバの演奏から始まります。
星野さんは19歳(2000年)に高校の同級生たちと「SAKE ROCK」というインストバンドを作りました。
そこでは、マリンバを演奏していたそうです。MVのスタートは星野さんの音楽活動のスタートを表しています。

次に写ったシーンは、星野源4枚目のアルバム「YELLOW DANCER」(2015年)の背景色と同じ「赤」の背景が映り込みます。

(左)アイデアのMV (右)YELLOW DANCERのジャケット
そして、すぐに黄色の背景色の場所に移動します。これは、9枚目のシングル「恋」(2016年)の背景色と同じ「黄色」ですね!

(左)アイデアのMV (右)「恋」のジャケット
ということは、お気づきかもしれませんが、次の背景は「ピンク」ですね!これは10枚目のシングル「Family Song」(2017年)と同じです。

(左)アイデアのMV (右)「Family Song」のジャケット
どんどんいきますね!最後は、11枚めのシングル「ドラえもん」(2018年)の「青」と同じです。

(左)アイデアのMV (右)「ドラえもん」のジャケット
2015年から2018年までのこれまでの星野源が表現してきた「イエローミュージック」を振り返るようなシーンが背景色を使って表現されていたことがわかりましたね。
まとめると、前半部分は「過去」の星野源さんを表しています!
星野源「アイデア」MVの中盤は?
Aメロの終了とともに、セグウェイで移動を開始する星野さん。

アイデアのMV
「星野源がセグウェイ!?」と驚いた方もいるかも知れませんが、2014年12月のライブ「ツービート」で1度のっていたんですね(笑)
このときは、小泉純一郎元総理が、ブッシュ大統領から未来の乗り物として送られた「セグウェイ」のシーンを再現するボケをかましていたようですw

(左)星野源(2014年) (右)小泉純一郎(2005年)
動画も載せておきますね!!
こんばんは。
セグウェイです‼️
星野セグウェイ❓ww#星野源 #ツ一ビ一ト pic.twitter.com/VSyp5E6mtx— みき・ほしの (@hoshino_mikitty) January 27, 2017
セグウェイは歩くよりも早く、時速20キロほどで進みます。2015年から2018年までの3年間が怒涛(どとう)の速さで流れていったことを表現しているのではないかと考えました。
さらに、セグウェイを支えているスタッフがいます。

このシーンって別に自分でセグウェイをとって乗っても良かったと思うんですが、あえてスタッフを写り込ませているところに、自分の力ではなく、周囲の人の力で加速させてもらったことを表現していると考えられます。
そして、セグウェイでたどり着いた先には、「STUTS」さんがいますが、さっきまでのスタジオの明るい雰囲気から打って変わって孤独な雰囲気になります。

(左)STUTSさん (右)星野源さん
星野源さんは今回のMVの特設サイトでについて次のようにコメントしています。
星野源のコメント
改めて歌詞を読んだ時、1番で歌っていることってパブリックの自分みたいだと思ったんですよ。楽しくて明るい。そういう陽の自分を世間に発信していると、同時に陰の星野源というものがどんどん増幅していくんです。家でひとりでいるときの自分。特に2017年は気持ちが物凄く沈んでいた。
2017年には、星野源の「楽しくて明るい」世間のイメージが星野さんの中で大きくなっていくとともに、隠れた「陰」の部分も大きくなっていったということみたいです。
この「陰」の時代の星野さんを救ったのが、「ビートミュージック」だったそうです。
だから、孤独な星野源さんに「ビートミュージック」のSTUTSさんがそっと後ろから寄り添っているようなシーンを表現しているんですね!
その孤独から大きく一歩を踏み出します!

あえて星野さんの1歩目を映し出すシーン
一歩踏み出して歩いていくと、その先には、眼の前に「光の球」がたくさん現れます。

この光のたまのシーンですが、孤独と向き合う中で星野さんにとっての希望の光を見つけたことを表現していると思います。
このシーンで星野さんの「夢の外へ」という曲が連想されました。
この曲は、「世間がうつしだす光」と「自分だけが見える世界(陰)」について歌っていて、
「ボクはその真ん中をゆく」という歌詞があります。光の星野源も、孤独の陰の星野源もどちらも星野源の全て、そのどちらも表現していくことを星野さんは実践されているのではないでしょうか。
そして、次は「赤と白」の背景にうつります。これ最初に見た時は「紅白?!」と素直に思いました。

紅白といえば、年末の「紅白歌合戦」ですが、紅白は星野さんにとって特別なもののようです。
紅白歌合戦を「命をかけて歌うしかいない」と星野さんは表現しており、星野さんの歌の原点を思い出す場所なんじゃないかって思うコメントがあります。
星野源コメント
「プロモーションの要素が全くなくなって、歌を届けるっていう1点に集中する空気と心持ちになっていく。いい顔をしようとかではなく、日本全国にどれだけ真心込めて歌を届けるかの勝負」
その歌の原点から、星野さんがステージからはけてダンサーだけのダンスシーンになります。
ライトの色が変わったと思うと、さっきまで「紅白」だった背景が「白と黒」に変わります。

このシーンの解釈は様々あると思うのですが、「アイデア」の歌詞を忠実に読み解くと、「アイデア次第」で見方が変わるってことを表現したいのかと感じました。そのアイデアで影の自分も超えていけると歌詞からは読み解けます。
星野源「アイデア」MVの終盤は?「白い動く壁」の意味
突然、スタジオに星野源さん1人きりになります。
気がつけば、上着(ジャケット)を脱いで、クラシックギター1本で歌い始めます。
なんの飾り気もない、星野源さんの「裸」で「素のまま」で歌を届けてくれます。
このシーンはなぜだか泣きそうになりますよね。周囲が作りあげた自分を演じなくたって、なにも飾らなくたっていいんだってそんな思いを感じました。

でも、この先が凄い!!!飾られた自分をすべて脱いだ星野源さんは、なぜかまたジャケットを着てしまいます。
あれっ!?結局は、光の自分に戻るの?って思ったんですが・・・、たどり着いた先には、「白い壁」があります。

そして、そして、白い壁の形が動いて変わってしまうんですね!!!

前半部分でのカラーのついた壁は、すべて最初から固定されていたんです。でも、最後の「白い動く壁」は自由です。
どんな色にでも、どんな形にも「アイデア」次第で、どんな自分にもなれる。それが、自由な自分。
だから、世間が期待する「光」の自分も、本当の孤独な「陰」の自分も、全部ふくめて「星野源」そんなことを表現していると感じました。
まとめ
星野源さんの新曲「アイデア」のMVを読み解いていきましたが、いかがだったでしょうか?
一番伝えたいことは、「動く白い壁」なんですね。そう考えると、前半部分の「カラーの壁」もすべて伏線になっていて、まるで映画をみているようなMVですよね!
またまた、星野源さんに病みつきになってしまいました。今後もずっと応援していきたいです。
最後に、もう一度MVの視聴をどうぞ! あなたも好きですね~(笑)
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